【課題解答集】85°壁 5級・4級の登り方【’23年4月〜】

5級課題

緑1


1手目へのマッチが最初の難関です。

5級にしてはシビアなこの保持を成功させるコツは、左手による力の利かせ方にあります。

左側への外引き(=ガストン)を意識しつつ、重心を上げると保持しやすくなります。

脇が開いてしまっていますが「あえて」です。
外引きの場合は順手と違ってむしろ脇が開くのです。
立ち上がって重心を上げるとさらに利かせやすくなります。
これで右手を外して寄せてくることができます。

また、この課題では「立ち上がると同時に手を出す」というシーンが2箇所あります。

1箇所目は、1手目にマッチをしてからの2手目への左手出し。

足の踏み替え後に左足を上げたシーンです。
この体勢から……
立ち上がると同時に左手を取りに行きます。

もう1箇所は、ゴール手前の薄めのホールドを狙うシーンです。

またもや左足での立ち上がり・左手伸ばしですが、要領も先ほどと同じで、立ち上がると同時に出していくタイミングが重要になります。

右手を利かせつつ、左足を意識して……
立ち上がると同時に取りに行きます。

緑2


この課題の難しさは中盤のドーナツ型ホールドの扱いに集約されています。

まずは下部にマッチをするところです。

こうしたホールド(スローパー)は手前に引くことができないため、腰が壁から遠ざかってしまうと保持できなくなります。

そこで、できるだけ重心(=腰)を壁に近づけることが有効です。

腰を壁に近づけていることがわかります。

続いては、ドーナツの上部を持って足を引き上げるところです。

このときは狭いスペースに身体を収めなければならないので、どうしても腰が壁から遠ざかります。

しかしながら、こうしたときも「スローパーは手前に引けない」という要点を意識して、ホールドに対して真下の方向に力をかけようとすることが大切です。

ここから左足を上げていきます。
両腕を真下に引くように意識してください。

「真下に力をかける」というのがいまひとつ理解できない方は、まずは下の画像をご覧ください。

この画像はホールドを手前に引っ張っているところです。

肘がホールドから遠くなっていますし、さらにこの状態から肘を曲げていくと、肘は身体に近づいていき脇に収まっていくことになります。

補足しておきますと、これが悪いわけではありません。
むしろ、こうした”前後動作”がクライミングの基本です。

一方で、下の画像は「真下に力をかけている」状態です。

肘がホールドに近く、さらに直角に曲がっています。加えて、脇が開くことなく、しっかりと締まっています。

これにより、掴みどころのないホールドを「押さえつける」ようにして保持することが可能になります。


以上はあくまで理屈ですが、ちゃんと理解したうえで練習すれば効率的に上達できるはずです。

この記事を参考にして、納得いくまでトライしてみてください。

緑3


この課題はスタートに難しさがあります。

壁に左足をつけば安定するのですが、その動作を素早く一気に行なう必要があります。

この状態から……
思い切って左足を浮かせて。
壁に張ります。

ボルダリングでは「体勢を安定させてから動く」ことが基本ですが、いつもいつも安全に動き出せるとは限りません。

レベルが上がってくると、この課題のスタートのように「思い切って動いてしまえば体勢が安定する」というシーンに遭遇します。

不安・不安定な状態から思い切って動く勇気と技術が要求されるのです。


様のことが次のアンダーホールドの扱いについても言えます。

左手のホールドに注目してください。

一般に、アンダー(下部を持ち上げるようにして保持するホールド)は重心を上げたほうが保持しやくなり、重心がホールドに対して下にあるうちは保持しづらくなります。

そのため、持ち感に不安があっても、思い切って立ち上がってしまえばよく利くようになるのです。

ここまで上がってくると、アンダーが仕事をし始めます。
このようにアンダーより腰が上がるとバッチリ利いてきます!

上部のトラバース(横移動)パートでは足の入れ替えがポイントになります。

高所で行なうだけでなく、黄色いホールドに邪魔されて足元を視認しづらくなっていて、恐怖感が強いです。

とはいえ、ここは足の入れ替えの基本に忠実になって、右足の上にしっかりと左足を重ねることを意識してください。

この右足を左足に置き換えます。
右足のうえに左足を重ねます。
視線は黄色いホールドに遮られるので、足の感覚を頼りましょう。
そして右足をさっと抜きます。
”だるま落とし”とか”テーブルクロス引き”の要領です。

4級課題

水色1


この課題最初の難関はスタートを切ることです。

左足は棒状のホールドに、右足を小さいホールドに、それぞれ乗せますが、狭いこともあって右足は浮かせると同時にスメア感覚で壁に張りはける必要があります。

まずは左足を乗せます。
右手はピンチ、左手は押さえつけるような保持がオススメです。
窮屈な姿勢ですが、思い切って右足を浮かせます。
右足を無事に乗せると、体勢が安定します。
乗せるというよりスメアの感覚に近いかもしれません。

続いての難所はボテ上のホールドを取ってからの身体の引き上げです。

取るときにはボテについたホールドを左手でプッシュします。

このとき、真上というよりは壁方向に入り込むように押さえつけると壁から吐き出されづらくなって安定感が増します。

壁に入り込もうとしていることがわかります。

そのあとは、左手で保持しているホールドに左足を乗せていきます(手に足)。

このときに右足を十分な高さまで移動させていないと、足場が高すぎて乗り込みづらくなります。

右足がスタートホールドの端まで来ています。
ここまで移動させておけば高さは十分です。

無事にボテの上に立ち上がることができたら、あとはトラバースです。

4級を打てるクライマーにとって技術的な困難はさほどないと思いますが、それなりの高所なのでなかなかの恐怖があります。

「壁から離れな」というスラブの基本に忠実になりつつ、勇気を持って挑んでください!

おしりが出ないように腰を壁方向に詰めましょう。

水色2


下部のトラバース(横移動)パートでは2手目のホールドの扱いが鍵になります。

ポイントとなるのは「出てしまえば利くようになる」という考え方です。

ホールドに力を利かせてから動くのではなく、動き出すとホールドが仕事をしだすという仕組みになっていることを意識してください。

背中で見えづらいですがマッチしています。
右手で右側を保持していますが、この時点ではあまり利いてません。
左足で思い切って立ち上がります。
こうすることで右手の保持が利くようになってきます。
ここまで腰の位置が移動すれば、右手の保持はバッチリです。

続いてはボテを使っての直上パートです。

ここでは側壁(隣の90°壁)の使い方が大事になってきます。

まずは側壁を利用して身体を安定させ、カチを取ります。
左手を持ちやすいボテの上部へ移します。
左手のボテと右手のカチで身体を引き上げます。
ゴールへのマッチも側壁を利用することで安定します。

水色3


この課題では珍しいポケットマッチをする必要があります。

要領は足の入れ替えと同様で、指を重ねて引き抜くことです。

両手の指を重ねて、右手を引き抜きます。

その後にやってくるスローパーでは重心を落とすことが重要です。

そのまま横移動するのではなく、あえていったん沈みこみましょう。

次のホールドが高い位置なのでそのまま狙いたくなりますが……
スローパーをしっかり保持するためにいったん下がります。

トラバース後の直上パートは、ホールドへの乗り込みの良い練習になります。

乗り込みの最大のコツは重心操作。

足場となるホールドの真上に重心を持ってこれるように意識することが重要です。

ここから立ち上がろうとしても苦しくなります。
まずは腰の位置を足場の真上に移動させましょう。




提供:ボルダリングジムBolBol