こんにちは! 橘です!
ジムをお手伝いするようになって1年、クライミングをはじめて早4年。
クライマーとしてはまだまだ未熟者ではありますが、3級までならコンスタントにオンサイトできるようになり、1級を中心に打ち込むようになりました。
そんなぼくが胸を張ってご報告したいことがあります。
それがこれです!
3ヶ月ほど前までスローパーがド下手だったぼく。
スローパーをあっさりと保持する方々を見ては、「どうしてスローパーは自分に微笑んでくれないのか」と、悲しみと嫉妬で枕を濡らしてばかりおりました。
が、しかし。
今回ご紹介するコツを徹底することによって、スローパー保持能力の劇的な改善に成功いたしました!
そんなわけで、ここ最近は……
こんなのとか!
こんなのとかを!
すごく持てます!
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モテまくりです!
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スローパーに振られっぱなしだった3ヶ月前のことを思うと、この成長には自画自賛を禁じえません。
現在のぼくは、この喜びを誰かと共有したいという自己顕示欲に満ちあふれております!!
というわけで、今回は!
これを語らせていただきます!
ぼくはまだまだクライミング歴が浅く、まわりには自分よりはるかにお強い方が大勢いらっしゃるので、今回の企画が厚かましいことは承知のうえですが、4級・3級を中心に挑まれている方々にとっては読んで損はない内容にしたつもりですので、ぜひ最後までお付き合いください!
前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ本題に入ってまいりましょう!
スローパーの難しさ
当たり前の事実を確認することから始めたいと思います。
実際、ぼくがスローパーの扱いを改善できたのも、当たり前すぎてあまり深く考えていなかった事柄としっかり向き合ったからだと考えています。
ぼくは「スローパーはなぜ難しいのか」という疑問を発するところから特訓を始めました。
その答えは明白です。
スローパーは手前に引けません!
もう少し正確に言うなら、”壁から離れる方向”に力をかけることが許されないのです。
つまり、精密な力の利かせ方を要求されることがスローパーの難しさであり、この事実をしっかり認識することが攻略のポイントだと思われます。
実際、ガバやピンチなら力のかけ方にかなり融通が利きます。
ところが、スローパーで同じことをすると……
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こうなります。
このような事態を避けることが今回ご提案するスローパー攻略法の要であると、まずは認識していただくようお願いします!
たった1つの基本原理
スローパーは壁から離れる方向に力をかけることはできない。
この事実から導かれる、スローパー攻略のためのたった1つの単純な要点。
それはすなわち、”壁から離れないような力のかけ方”を考えること、です!
そこで、これからご紹介するコツはすべて、こうした力のかけ方を実現するための方法論ということになります。
このことを踏まえたうえで、いよいよ具体的なスローパー攻略法を考えていきましょう!
スローパー攻略のコツ
力をかけたい方向を確認したところで、ここからは具体的な方法についてご提案していきます。
繰り返しになりますが、スローパーでは壁から離れる方向への入力が禁忌。
実現したいのは、壁に沿うような、極論すれば壁方向に入っていくような力の利かせ方です。
猫背を避ける3つのコツ
まずもって、ホールドを保持する姿勢として、猫背は厳禁です!
なぜなら、猫背になると確実に壁から離れる方向に引いてしまうからです。
そこで、猫背にならないためのコツを3つご提案します。
その1:かかとを上げる
実際にかかとを下げてみるとわかります。
お尻が突き出てしまい、結果として背中も丸まりやすくなるはずです。
そこで、つま先でホールドを捉え、かかとをしっかり上げてみます。
これだけでも、腰がぐっと壁に近づき、背筋が伸びやすくなるはずです。
その2:腰を壁に近づける
かかとを上げただけでは姿勢としてはまだ不十分なので、意識的に腰を壁に近づけるようにします。
すると、重心がホールドの下に来るので、壁から離れる方向に働く力が緩和されます。
その3:ホールドをしっかり見る
これも、まずはダメな姿勢から見てみましょう。
このように下を向いてしまうと、肩が上がると同時に、やはり背中が丸まってしまいます。
そこで、いま手をかけているホールドや、次に狙うホールドに対して、しっかり顔を向けて見据えるようにします。
上方へしっかりと視線を送ることで、自然と胸が張られ、背筋が伸びた状態になるはずです。
「見つめる」という感覚がいまいちピンと来ない場合は、「ホールドに胸を向けるようにする」と意識しても良いかもしれません。
背中で引くためのポイント
一般に、「スローパーは背中で引くことを意識せよ」と言われるのですが、このような意識が具体的にどういうものか、ぼくは最近までわかりませんでした。
そこで、試行錯誤を重ねた結果、「背中で引く」という行為は、次の2点に注意することで実現するという結論に至りました。
その1:肘の角度を保とうとする
肘の角度を一定にキープしたまま、肘の位置を下げてくるように意識します。
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この動きは二の腕に頼ってしまうと実現しません!
二の腕の筋肉は、前腕を自分のほうに引きつけるような働きをするからです。
すなわち、二の腕に頼ると壁から離れる方向に引いてしまうのです。
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イメージとしては、前腕骨から上腕骨、そして肩甲骨で構成される一連の部位全体を下げるような感覚です。
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その2:脇を締める意識
脇が開いてしまうと背中の大きな筋肉を使いづらい。
このことは解剖学的な知見として有名です。
しかも、脇が開いてしまうと下図のような動きになるので、壁から離れる方向に引きがちです。
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背中を意識すれば摩擦力UP!
スローパーの保持で重要なのは摩擦を最大限に活用すること。
そこで、摩擦力は押さえつける力に比例して大きくなりますから、背中の大きな筋肉を使うことができれば、より強い摩擦力を得ることができるのです。
このような理由からも、背中で引くことは重要なポイントだと言えます。
ただし!
状況によっては背中よりも胸筋を意識するシーンもあります。
たとえば、スローパーの側面を押さえつけて、身体を横に出していくような場合、背中よりむしろ胸筋側の力を意識すると良いです。
また、スローパーを胸の高さで扱いたい場合も、胸筋を意識して抱えこむようにするのが有効です。
いずれにせよ、スローパーを保持するためには、手のひらを表面に強く押しつける意識を持つことが欠かせません。
ホールドの下に入りすぎない
スローパーを保持するコツとして、「ホールドの下に入る」と言われることがありますが、個人的な見解としては、この表現は少々語弊があると思っています。
下に入れるのは重心(腰)だけです。
体全体を真下に入れるのはむしろ危険だと言えます!
このように考える理由を説明します。
まずは持ち手を正面に捉えた状態からの懸垂をご覧ください。
重心がスムーズに上下していることがおわかりになるかと思います。
一方で、真下に入った状態から懸垂する場合はこうなります。
重心が外に膨むことが確認できたかと思います。
この「外への膨らみ」がたいへん危険です!
このときの勢いを抑えるためには壁から離れる方向にホールドを引っ張りたいところなのですが、スローパーではそれができないために、結果的に保持しきれなくて落ちてしまうリスクが高まります。
なので、スローパーを保持するときは、身体をやや引き上げた状態で持つのが理想的だと言えます。
おすすめの練習方法
実行できなければ理屈は無力。
というわけで、これまでにご説明したコツを実践するためにぼくが行なってきた練習方法をご紹介していきます!
とにかくスローパーに触れる
反復練習こそ上達への王道。
ということで、きわめて単純な話で恐縮ですが、とにかくスローパーに触れる回数を増やすことが重要です!
実際、ぼくがスローパーの上達を決意したときには、「スローパーに触らずに帰る日をなくそう」という意識で練習していました。
具体的には、トライしたい課題がほかにあったとしても、最低10本はスローパーの含まれる課題を登るようにしてみてください!
姿勢を意識して登る
上手にスローパーを保持する方々を見ていたところ、結局のところ、姿勢が綺麗だとスローパーも上手に保持できるという事実に気がつきました。
スローパーが難しいのは、ほかのホールドが大目に見てくれる姿勢の悪さを、決して許してはくれないからです。
そこで、今回ご説明した「猫背を避ける3つのコツ」をどんな課題でも徹底して意識してみてください!
ぼくはこの姿勢を意識するようになってから、スローパーの扱いだけではなく、ボルダリングの全シーンにおいてレベルが1つ上がったと感じました。
実際、この姿勢を取ることで、重心が壁に入り、背中で力強く引くことが可能になるので、登るという行為全体が効率的になるはずです。
正対で登りこむ
姿勢の意識に関連して、”正対”を基本として登りこむことをオススメします!
なぜなら、ダイアゴナルをはじめとする「振り」を利用したムーブは、持ち手をしっかりと掴めることが前提であるため、スローパーの前では原則として無力になるからです。
また、「振り」を利用したムーブを多用していると背中の筋肉が育ちづらいので、スローパーに手のひらを強く押しつけるための筋力が不足しがちです。
翻って、正対で登っていると広背筋が発達するため、スローパーに必要な筋力が自然と養われます。
このあたりの事情は過去の記事でもご説明していますので、詳しく知りたい方はご確認ください。
フィンガーボード活用のススメ
今回はスローパーを持つためのコツとして、主に技術的なものをご提案してきましたが、スローパーの保持には筋力もたいへん重要です。
なぜなら、スローパーの保持においては手のひらとの摩擦が不可欠ですが、そうした摩擦力は背中の筋力を駆使して、ホールド表面に手のひらを強く押し付けることで生まれるからです。
したがって、絶対的な筋力不足もスローパーが持てない要因の1つとなります。
そこで、筋力を鍛えるためにフィンガーボードを活用しましょう。
ご覧のとおり、フィンガーボードにはスローパー練習用の傾斜が設けられています。
とはいえ、最初からこの部分で練習するのは難しいかもしれません。
そういうときは、傾斜していない持ち手で一般的な懸垂を行なうことから始めると良いと思います。
ただし、親指は使わずオープンハンドで持ちます。
オープンハンドだと、雑な懸垂をした場合は身体が外れてしまうので、必然的に丁寧な引き上げを意識できます。
下図のように持ち手を握り込んではいけません!
ふつうの懸垂がある程度できるようになったら、フィンガーボード上部の傾斜で懸垂をしてみましょう。
ぼくは2番めにキツい傾斜で懸垂できるようになった頃からスローパーに自信がつきました。
指の側面が中央部分に触れてしまうと摩擦が利用できて簡単になるので、しっかり離して行ないます。
なお、フィンガーボードでは他にもさまざまなトレーニングができます。
詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になさってください!
じつは優しいスローパー
皆様、このたびは未熟者の持論にお付き合いいただきありがとうございました。
あくまで一個人の見解というかたちでご説明してまいりましたが、まったくの独自研究というわけでもなく、当然ながら、上達の過程ではたくさんの方にアドバイスをいただきました。
なので、それなりに客観性・一般性がある内容になっているはずでし、実際、ぼくは持てるようになったので、その点はぜひとも信じていただきたいと思います。
最後に、ごくごく個人的な感想をお伝えすると、スローパーは持てるようになると病みつきになります。
というのも、スローパーって持っていても痛くないんですよね!
仲良くなるまではとっても突っ慳貪なスローパーですが、親しくなりされすればとっても皮膚に優しいのがスローパーの良いところ。
そんなツンデレなスローパーの魅力にまだお気づきでない方は、この記事を参考にぜひともお近づきになれるように頑張ってみてください。
ただし、スローパーばかり持っていると、指の力が弱くなるのでご注意を!
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、ガンバです!
提供:ボルダリングジムBolBol