登山の魅力とその心得

タクマ
タクマ

こんにちは。BolBolのタクマです

外岩クライミングに魅了されて以来、文明社会と大自然を行ったり来たりする生活を十数年続けてきました。大自然の素晴らしさはもちろんのこと、その恐ろしさも存分に味わってきたつもりです。

それなりのベテランとなった今では、初心者の方に同行して、登山や岩場でのクライミングを指導することも多くなりました


そこで今回は、登山の心得についてアドバイスしたいと思います。

ぼくは登山の専門家ではないので、あくまで岩場を目指すまでの基礎的な登山の知識となりますが、これから山に向かわれる方には最低限知っておいていただきたい知識をご紹介しますので、初心者の方はしっかりと確認するようにしてください。

登山の魅力

今回の記事では「山の怖さ」についてもお伝えしていきますが、自然が好きなぼくとしては、より多くの人に山や岩場の魅力を味わってほしいと願っています。

そこで、「登山をしてみようかな?」というその好奇心に水を差してばかりではいけませんから、最初にぼくが考える登山の魅力からご紹介していきます。

”未開”の魅力

当たり前の話ですが、山という場所は人間が過ごしやすいように都合よく存在しているわけではありません。

車が通りやすいように舗装されているわけでもなく、散歩しやすい遊歩道があるわけでもないので、アクセス自体もしばしば困難です。

小腹が空いたときに気軽に入れるおしゃれなカフェがあるわけもなく、なんなら野草で飢えをしのぐような場所です。

コンビニなんて気の利いたものはありません。

しかしながら、そうした”未開の地”だからこそ、非日常的な楽しさがあります


都会の喧騒を離れて、人の少ない山道を自力で歩いて目的地を目指していると、文明社会における生活では決して味わうことのできない解放感を得ることができます。

また、人間ウェルカムな環境ではないからこそ、そこを踏破したときに得られる達成感はひとしおです。

こうしたさまざまな高揚感は、登山の醍醐味の1つだと思います。

”絶景”の魅力

街のなかにも見て楽しいものはいろいろとありますが、そうした人工的なものでは決してつくりだせない絶景が、自然のなかには存在します。

そして、絶景は目で見るだけのものではありません。

呼吸や肌を通じて味わう空気感や、耳を済ますことで聞こえてくるその土地の音もすべて感じ取って、絶景は成立します。

このように大自然の絶景を五感で味わう体験は、実際に現地に赴くことによってしか得られません。

美しい景色ですが、写真では「見てわかること」しか伝わりません。

”共有”の魅力

仲間と行動することで味わえる魅力もあります。

単独行動も良いですが、危険と隣り合わせの登山では、一般的にはチームを組んで行動することになります。

そうした登山仲間と困難や喜びを共有することで得られる連帯感は、日常生活ではなかなか得られないものです。食事ひとつにしても、苦労してたどり着いた先で囲む食卓は、街中の飲食店で席を並べる場合とはまた違った楽しさがあります。

気の合う仲間との親睦がいっそう深まるにも、登山の魅力の一つです。

自然のなかにともに身を置くことで、協力して生きているということを再認識します。

語り尽くせない自分だけの魅力

ここでは、ぼくが感じる魅力のほんの一部をお伝えしましたが、これらは言葉で伝えることができて、しかも多くの人にとって共感してもらえるだろうと判断したものでしかありません。

言葉にできず、人と共有できそうもない、大自然について感じるぼくだけの魅力というものが、ほかにもたくさんあります。

なので、あなただけの魅力もきっとありますし、それを見つけるためには、実際に行ってみる必要があるのです。

登山は”準備”が大切

ここからは注意点や心構えについてご説明します。

登山をやってみたいと思っていただけたところで、ぼくとしては、それを安全に楽しんでいただきたいと強く思います。

そのために重要なのは、事前の入念な準備です。
”登山の成否”は”準備の成否”だといっても過言ではありませんので、まずは必要な準備についてご説明していきます。

登山計画

まずは精神的な準備です。

これはある意味で、準備のための準備であると言えます。

道具の用意や体調管理のスケジュールなどは、こうした登山計画をもとに定まってくるので、まずは計画をしっかり立てるようにしましょう。


計画段階で確認したい最低限の内容はこれです。

  1. 日時と場所
  2. ルートと所要時間
  3. 人数と各人の実力


さて。

これを見たときに、こう思われたかもしれません。

所要時間なんてわからないな……


これはそのとおりで、登山初心者の方は計画を立てることについても初心者ですから、所要時間などの重要な要素について目算が立ちません。

だからこそ、事前にしっかりと情報収集をするか、きっちりとした計画を立てられる経験者をパーティーに加えることが必要になります。


また、所要時間の算定においては、「下山のほうが辛い」という事実を十分に考慮するようにしてください。


さらに、パーティー内で一番実力のない人に合わせた計画を立てることも重要になります。ルートや所要時間については、経験の浅い方に合わせた無理のないプランニングを心がけてください。


タクマ
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こんな記事を発信しておいて言うのもなんですが、本格的な登山をしたいのであれば、ブログの情報だけに頼らず、実際に経験者の方に同行してもらうことを強くオススメします。

道具

次に物資の準備です。

登山のために必要な道具は、日程・旅程や季節によって異なりますので、登山計画を踏まえたうえで決定していきます。

必須のアイテム
  • ザック・リュック
  • 登山靴
  • ヘッドライト
  • 食料と飲料
  • 消毒薬やガーゼ等(応急手当用)
  • タオル
  • 着替え
  • 通信機器(スマホなど)
  • お金(とくにガソリン代の準備)


季節や状況によって必要
  • 防寒具
  • 雨具
  • トレッキングポール(つえ)
  • その他、状況に応じて用意


”泊まり”が必要な場合
  • 寝袋
  • 就寝具(冬場はとくに防寒性に注意)
  • テント
  • ランタン(照明)
  • その他、状況に応じて用意
このくらいの準備が必要になります。


「準備しすぎ」に要注意


「荷物が増えるほど体力を消耗する」という事実を忘れてはいけません。

「これは本当に必要か」と疑いを持って準備を進める必要があります。

とくに、パーティー全体で1つあれば良いものは、特定の1人に担当してもらうようにしましょう。

「備えあれば憂いなし」と言いますが、備えすぎても憂いのもとです。

タクマ
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楽しい登山にしたいからとレジャーグッズや遊び道具を持っていきたがる方もいらっしゃいますが、安全面からはあまりオススメできません。

体調管理

最後に肉体的な準備です。

肉体はある意味でもっとも重要な持ちものと言えます。そろえた道具がボロボロでは意味がないように、活動に適した肉体を用意しておかなければ、登山はたいへん危険なものとなってしまいます。

厳しいルートに挑む登山家は何ヶ月もかけてコンディションを調整していきますが、初心者のうちはそこまで凝った準備は必要ありません(というより、高度な準備を必要とする登山に挑戦するべきではありません)。

そこで、最低限、次のことは守りましょう。

  1. 十分な睡眠をとる
  2. 十分な栄養(食事)をとる
  3. 身体に不調がないことを確認

登山計画を踏まえ、当日を良いコンディションで迎えることができるように、こうした体調管理をしていく必要があります。

タクマ
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「ワクワクして眠れなかった」なんていうのは遠足あるあるですが、登山においてはそれが笑い話では済まなくなる可能性があります。

登山中の心得

これまでは準備の話をしてきました。

ここからは、実際に山を登るときの注意点をご説明します。

歩くペースに気をつける

登山において、もっとも注意が必要なのは下山です。

”下り”は筋肉への負担が大きいうえに、すでに体力を消耗している状態なので、いっそうの危険を伴います。

にもかかわらず、初心者(とくに体力に自信のある方)は登山の前半である”登り”で体力を使いすぎてしまいがちです。

なので、歩行のペースには十分に気をつけてください。

もっとも確実な対策は、経験者を合わせることです。

パーティー内で経験豊かな方に、先頭と最後尾をおまかせすることができれば、初心者は先頭の方をペースメーカーとして利用しつつ、最後尾の人が各人のペースをチェックすることができます。

タクマ
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こうした事情がありますから、やはり初めての登山では経験者をパーティーに加えることがベターです。

ほかの登山者たちへのマナー

これまで自分の身の安全を守るための情報をお伝えしてきましたが、他人の安全に気を配ることも大切です。


そこで、ほかの登山パーティーへの配慮を忘れてはいけません。


具体的には、山道でほかのパーティーとすれ違うときには、歩きやすいように道を譲る配慮が必要になります。

こうした配慮をお互いにすることで、登山者全体として安全な登山を実現することができます。

タクマ
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”挨拶”は一般的なマナーとしても大切ですが、これにはお互いの姿を認識しあうことで、遭難した場合の情報提供や、異変の発見などの効用もあります。

山でのマナーには、安全の確保という実用的な機能があります。

万が一のときの対処法

考えたくもないようなトラブルについての対処法を知っておくことも大切になってきます。

無事に登山を楽しめればそれがベストですが、有事についての知識を身に着けておくことで、登山の成功率を上げると同時に、それが危険と隣り合わせの行為であるとの認識を改めて持つことができます。

遭難したらどうするか

とにかく体力の温存が喫緊の課題です。

慌てふためき、右往左往してしまうのはたいへん危険です。

空腹や脱水に十分に気をつけ、怪我をしている場合は止血や消毒を行います。そうした安全を可能なかぎり確保したうえで待機します。

ピンチになると、とにかくなにかしなければと行動したくなりますが、遭難した際は「助けを待つ」ことが基本的な生存戦略となります。

下手に行動して、本来のルートから大きく外れていくと、それだけ発見されるのが遅くなったり、体力を消耗したりしてしまいます。

「遭難したかも」と思ったら体力温存して待機

これを徹底してください。

タクマ
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「遭難した(帰りが遅れている)」という事実にいち早く気づいてもらえるように、登山に参加しない人にあらかじめ計画を伝えておくと良いでしょう。電波が届くならGPSで位置を把握し、通信機器ですぐに連絡を!

迷ってもなるべく正規ルートから外れないことが大切です


”遭難への備え”と”遭難リスク”


すでにご説明したように「荷物は最小限」は基本です。

遭難の話をすると、「万が一に備えてしっかりと準備をしなくては」と考える方が多く、それは素晴らしいことなのですが、一方で”準備のしすぎ”は逆効果です。

遭難に備えて荷物を多くした結果、遭難リスクが上がるという皮肉なことにもなりかねませんので、準備するアイテムは最小限にとどめることを徹底してください。

タクマ
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「遭難したら」ではなく「遭難しないために」と考えると、物資に頼らない準備の仕方が見えてくると思います。

クマとの遭遇

文明社会で生活しているかぎりはおとぎ話や童謡のなかだけの出来事ですが、山に入るなら現実的なリスクとして本気で考えなくてはいけません。

遭難した場合と同様、とにかく落ち着くことが大事です。

実際に野性の獣を前にして冷静でいるのは難しいことでしょうが、心の中はともかくとして、少なくとも行動面においては平静を維持し、クマを刺激しないようにしなければなりません。

具体的には、目を合わせながらゆっくりと離れていくようにするのが良いと言われています。

タクマ
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大声を出したり走ったり、クマを興奮させるような行為は厳禁です。

登山と外岩クライミング

登山の心得としては以上となります。

ところで、冒頭でもお伝えしたように、ぼくは登山メインというよりは、岩場でクライミングを楽しむために登山をしています。

このブログではぼくがこれまでに行なった外岩クライミングについてのレポートも発信していますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

外岩クライミングに興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。

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提供:ボルダリングジムBolBol