あけましておめでとうございます。
すっかりご無沙汰となってしましたが、新年最初の記事は外岩レポートをお届けします。
今回の舞台は去年9月に赴いた小川山。
昨年は伝統ある名ルート ”サマータイム”を攻略することができ、ぼくにとっては思い入れの深いスポットとなりました。
そんなお気に入りの岩場を、このときは総勢4人で訪問。
外岩大好きなメンバーで、Bol Bol常連の方たちにも同行していただきました。
この日はハコヤ岩、バードウォッチングロック、そして砦岩の3つのエリアをはしごしました。
広大なエリアを有する小川山だけに、選んだ3つのサブエリアの往来はかなり骨が折れます。
岩場へのアプローチは、歩きやすい登山道ではありません。
丁重な舗装も丁寧な案内もないケモノ道でしたから、ちょくちょく道に迷いました。
とはいえ、そんなちょっとしたトラブルなら楽しんでしまうのが今回のメンバー。
みんなで行動すれば仲間意識も高まるし、なにより道中の景色が最高なので気分も上がります。
それぞれのエリアでは、主にカムを使うクラック課題に挑みました。
選んだ課題はグレーディングこそ控えめでしたが、通常のリード課題よりも求められる技術がはるかに多様で、ロッククライミングに関する幅広い知識と対応力が求められます。
ジムではお目にかかれない奇抜・奇怪なルートが存在し、人工壁ではなかなか味わえない緊張感と成長を得ることができるのは、まさに外岩ならではの魅力です。
さて、今回の個人的なメインディッシュは砦岩に広がる知る人ぞ知るマニアックな課題。
その名も。
”地獄の黙示録(5.11c)”
小川山では珍しいフェイス系のトラッドルート。
のっぺりとしていて顕著なホールドは少なく、それでいてスラブよりも傾斜があります。
そんな 40m の絶壁はそれだけでも怖いのに、ボルトが打ち込まれた通常のルートとは異なり、確保のための支点(ナチュラルプロテクション)をなんと自ら仮設しつつ登る必要があります。
それがトラッドルートです。
つまり、落下したら支点ごと外れて大惨事になる可能性がある、まさに地獄的な課題です。
怖さでいえばそのへんの5.13台のほうが可愛く見えるくらいで、まさに命がけです。
しかしながら、精神的にとことん追い詰められるトライだからこそ、極上の充実感を与えてくれますし、大いに奮い立たせてくれます。
じつはサマータイムを攻略したあとから、小川山が誇る名課題としてチャレンジは避けられないと思いを募らせていました。
実際、神奈川生まれのベテランクライマーである菊池敏之さんは、ご自身のブログでこんなふうに紹介しています。
砦岩の開拓はパンクやガンバラナクチャの方が先(ともに83年)ですが、「オリジナル色」ということでは、この「地獄の黙示録」はこの地の金字塔でしょう。(中略)11bは純粋なムーブに付けられたもので、全体のグレードとしてはやや辛め。もちろんフォールは許されません。
引用: 菊池 敏之 クライミングスクール&ガイド
(https://www.ne.jp/asahi/gamera/climb/sr-g.htm)
外岩における強さ、技術力ならびに精神力のすべてが高水準で求められるこの課題を無事に完登して生還できたことは、ぼくのクライミング人生の大きな誇りを追加してくれました。
同行してくれたチームの方々が下から力強く声援を送り続けてくれて、勇気と力を大いにいただけました。
当日は本当にありがとうございました!
以上が今回のご報告となります。
本年もよろしくお願いします!
提供:ボルダリングジムBolBol