明日から使える! ホールド交換マニュアル(準備編)

ヒロト
ヒロト

こんにちは! BolBol店長のヒロトです!


営者としてジムを運営していると、1人のクライマーだった頃には知ることできなかったさまざまな体験をします。

そのうちの1つは、以前にご紹介したホールドを購入するという行為です。


そこで、今回はそんな「ジムオーナーの裏話シリーズ」の第2弾をご提供します。

タイトルにもあるとおり、今回は……



実録!

ホールド交換ドキュメンタリーです!


ホールド交換といえばジム一大イベント。

ジムのホールド交換日は、スタッフはもちろんのこと、新しい壁にいち早くとりつきたいお客様たちもばっちりチェックしているものです。

そんな多大な関心を寄せられるホールド交換ではありますが、実際にどんな手順で、なにを気にして行なわれているかといえば、それはジムの運営に携わってみなければわからず、その全容はお客様たちにとっては謎に包まれています。

そんな知られざるホールド交換の一連の手順を、今回は2部作にして取り外しからご説明していきたいと思います!

ジムの運営に携わる予定のある方や、自宅にマイウォールをつくりたいと考えている稀有な方を除けば、ほとんどの方にとってまったく実用性のない情報になってしまうと思いますが、クライミングの雑学として楽しんでいただけるとうれしいです!

ホールド交換の準備

BolBolのホールド交換は月に1度、壁1面を3日かけて交換します。

実際にホールドを取り付けるのは定休日の月曜ですが、これまで壁についていたホールドを外し、壁やホールドを清掃し、次につけるホールドを用意するという一連の準備作業は金曜から土曜にかけて行ないます。

お客様の快適なジム利用を妨げない時間帯を狙うため、こまめに作業を分割しているのです。

毎月1面ずつ交換するので、当店にセット休業はありません。

もっとも、人員が多ければこうした作業をすべて1日のうちに終わらせることも可能なのかもしれませんが、なにぶん当店は少数精鋭。

交換にあたっては時間配分の工夫を手際の良さが求められます。

というわけで、今回の作業内容や手順はすべて当店に限ったものですので、その点はご了承ください。

ヒロト
ヒロト

準備作業は基本2人だけでやってますので、けっこうハードです。

ホールド外し

備作業の第1段階です。

まずは、セットする壁のホールドをすべて取り外していきます。

BolBolには全部で6面の異なる角度の壁があるため、ジム内の壁は6ヶ月かけて段階的に総入れ替えされます。

というわけで、半年間、楽しませてくれた壁に感謝をしつつ、ホールドを外していきます。

今回はこの115°壁を交換します。


というわけで、ホールド外しの準備として足場を用意しました。

基本的には、ホールド外しにしろ、セットにしろ、こうして脚立でつくった仮設の足場の上で行ないます。

土台として板を敷いていますが、これは足場の安定感を高めるための措置です。

普段はぼくたちを怪我から守ってくれるマットですが、ホールド交換時に限ってはむしろマットのやわらかさが最大の事故リスクとなるので要注意です。

さらにその下に敷いてあるブルーシートは、作業中に落ちたゴミやビスなどを効率的に回収するためのものです。

ヒロト
ヒロト

不安定な足場での作業は、不慣れなうちはスリル満点。かなりバランスに気を遣うので、スラブの練習になっているかもしれません 笑


準備ができたら実際にホールドを外す作業に取り掛かります。

ホールドは、(1)ホールドを固定しているメインボルトと、(2)ホールドが回転しないようにしているいくつかの小さなビスという、2つの部品によって取り付けられていますが、外すときはまず後者から外します。

まずは小さなビスを抜いていき、固定具としてメインであるボルトを外した時点で、壁からホールドが取れるのです。


すべて取り外しました。

黒くなっているのはクライミングシューズで踏まれた痕跡です。

低い位置ほどよく踏まれるので、ついていたホールドの形状が浮き彫りになるのと同時に、壁がモノトーンのグラデーションになっています。

なんだか芸術的に見えなくもないですが、ゆっくり鑑賞している時間はありません。

すみやかに、次の作業に移ります。

外したホールドのうち、小さいものはこのようにカゴにまとめます。
木ボテの裏はこんな感じになっています。
普段登っているだけでは絶対に見ることができませんね!

ホールド洗い

いて、外したホールドを洗浄していきます。

厳密なことを言えば、これはホールド交換の準備ではないかもしれませんが、交換の一連の作業のなかでやっておく必要のある工程には違いありません。


というわけで、高圧洗浄機を使って1つずつ丁寧に洗っていきます

ホールド外しに比べれば怪我の心配もなく、夏場は飛び散る水しぶきが気持ちよかったりして、晴れの日は快適に作業することができます!




(ブシュゥゥゥゥゥゥゥ




・・・・・・・・・・。

(ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥ)








・・・・・・・・・・。

(ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥ)






















2時間後。






・・・・・・はい、まだ終わりません。

これはこれでかなり過酷な作業です。



たしかに怪我の心配はないのですが、ホールドに高圧の水流を当て続けるという単純作業にしこたま従事していると、意識がぼーっとしてきます。

なにやら瞑想に近い状態になっていき、メンタルに来るものがあります。

それに、チョークの汚れは比較的落ちやすいのですが、シューズの黒いゴム跡はなかなか落ちませんので、しばしば激落ちくんで手洗いする必要があります。

というわけで、この作業に3時間以上費やします。

ヒロト
ヒロト

今回は温かい季節だから良かったものの、冬場にやると凍えるのでそれなりに気合が必要です。


洗い終わったものは天日干しします。

晴れていればすぐに乾きます。

洗浄後に限った話ではありませんが、ホールドはものによってはかなりデリケートなので、割れないように注意しつつ運んだり置いたりします。

乾いたものは室内へ。次の使用に備えます。

ホールド並べ

後は、セットに使うホールドを並べておく作業です。

この作業はホールド交換日(定休日)の前日の営業終わりに行ないます。

並べたホールドでジムの床が埋まってしまうので、ホールド交換によってお客様のジム利用に支障が出ないようにするためです。

当店はカラーセットなので、色ごとに整理して並べます。

この時点で、今回のセットに使用するホールドについて優先順位をつけておきます。

ホールドの選別には当店ならではのこだわりが1つ。

それは、基本的には前のセットで使用したホールドは使わないことです。

ホールド交換による新鮮さを最大化して、お客様にNewセットの楽しさを思う存分味わっていただきたいからです。

加えて、新しいホールドを使用することで、多様なホールドに慣れておくという練習効果も期待できます。

というわけで、当店では可能な限り、セットのタイミングで新しいホールドを購入するようにしています。

上達のためには楽しむことが一番。

飽きの来ない壁にするよう、つくりたい課題をイメージしながら明日に備えます。

ヒロト
ヒロト

並べられたホールドたちを見ているとワクワクしてしまいますが、翌日のセット本番に備えてしっかりと休みます。

次回はセット本番!

回はホールド交換の準備作業についてレポートしました。

ジムの裏話として、楽しんでいただけたでしょうか?

次回はいよいよ、実際にホールドをセットする模様をお伝えしたいと思います。

来週投稿予定ですので、みなさん楽しみにしていてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは、みなさん。

ガンバです!


提供:ボルダリングジムBolBol