こんにちは! BolBolです!
前回の記事は、第7回ボルダリング神奈川カップのご報告。
BolBol所属選手たちの活躍と、エキスパートジュニア予選課題のご紹介しました。
大会の開催から報告までかなり期間が空いてしまいましたが、当日のみんなの登りっぷりを改めて振り返り、みなさんと共有することができました。
さて、予告しておいたとおり、今回は神奈川カップのエキスパートジュニアの決勝課題をご覧にいれます。
本大会にはBolBolボルダリング部の中学生・原輝久選手が参戦し、見事に準優勝。
その実力を評価され、強化選手に抜擢されました!
そこで、決勝課題の全容を、強化選手となった原輝久選手の登りといっしょに振り返りたいと思います!
第1課題
まずは第1課題から見ていきましょう!
持ち感の悪そうな三角木ボテが連続する課題です。
じつは予選にも似たような三角ボテの課題がありました。
この角度からではわかりづらいですが、スタートを切るだけでもかなり難しそうなのっぺり具合です。
それにしっかりと力を利かせて、1手をマッチし、ゾーンホールドへと進みます。
ゾーンをマッチすることに成功しました。
あらかじめ言っておきますが、このゾーンには気の利いたビスなんて一切ついていません。
そんなゾーンを両手で保持した状態から……
こうして。
こう。
もはやどうやって利かせているのか、本人にしかわかりません。
観音的に保持しつつ左前腕を押しつけてフリクションを利用しているようですが、持ち感極悪な木ボテでこれをやれるのはさすがです。
準優勝は伊達ではありません。
実際、彼はこの課題唯一の完登者です。
そこから右手を出し、ゾーンに手に足します。
何気なくやっていますが、かなり柔軟性が必要そうです。
最後はキョン足でバランスを取り、薄いトップホールドのビス穴を保持して完登。
じつはゴール取りで1度落ちてしまったのですが、時間ギリギリのラストトライで見事に攻略。
勝負強さが光る素晴らしい登りを第1課題から見せてくれました!
第2課題
続いてはこちらの第2課題。
一見すると強傾斜らしいシンプルな課題ですが、ここまで記事を読んでくださった方(あるいは実際にコンペに参加された方)はもうおわかりでしょう。
この課題にも、やはり単純なパワー勝負はさせてくれない罠が潜んでいます。
それでは、輝久選手の登りを見ていきましょう。
まずは1つ目の核心。
両手にホールドを持った状態から、クロスに思い切り出していきます。
さすがは強化選手!
かなり深くてパワフルなクロスですが、1発で決めました。
そこから、マッチをして体勢を整えてゾーンを獲得します。
ここまでは至って順調。
しかし、問題は次のホールドです。
この体勢のまま、輝久選手は次のホールドの取り方に迷います。
もう1度左手を出してクロスに締めたいところですが、足も手も悪く思うように出せません。
ならば1回左手を出してマッチすれば良いかというと、持ち感が悪いためそれもままなりません。
結局、これを飛ばしてゴールにランジを試みましたが、失敗してしまいます。
時間の許すかぎり果敢に飛び続けましたが、最後までゴールを取ることはできませんでした。
じつはこの課題、ゾーン取りまでは決勝進出者6名全員がオンサイトで成功していますが、そのなかで完登できたのは2名だけ(うち1名は優勝者です)。
決して単純なフィジカル勝負にはさせてくれない本大会らしい課題だったのでした。
第3課題(最終課題)
最終課題は見ているだけで冷や汗が出てくるバランシ−な内容。
下部は高度なボディバランスと柔軟性が試され、身体を上げてからのトラバースもホールドの向きが悪くてかなりシビアです。
それでは、輝久選手の本大会ラストの登りを見ていきましょう!
まずはスタートホールドにプッシュをして、身体を上げていきます。
このときの右足の置き場はかなりシビア。
本人もそう語っていましたが、観客として見ているだけでもその悪さは一目瞭然です。
なにせあまりにホールドが薄いので、正面から見ているぶんには黄色で丸く塗られた壁の一部のようにしか見えません!
身体を十分に上げたら、そこからスタートホールドに手に足をして、上部のボテに手を伸ばします。
さきほど右足を置いていたホールドに比べればまだ厚みがあるスタートホールドですが、手に足をするとなるとかなり狭く、足を置く難易度は相当に高くなります。
ボテを触れたら左も手に足。
ようやく下部を攻略しました。
すでに何度か落ちており残り時間は1分を切っています。
急げるような課題ではないため、実質これが最終トライになるという状況になりました。
しかし。
ここから強いのが輝久選手です!
ボテを押さえながら1つ目のカチを保持しました。
ここから2連続、同じ方向を向いたカチを取り続けてトラバースしていきます。
残り時間が迫り、足場も極端に悪く、さらにはなめらかなボテに右手をほぼ添えているだけというこの状況で、左手を送っていかなくてはなりません。
ゾーン取りに成功しました。
あと1つです!
送ろうと左手を離した瞬間、身体が壁から剥がれ始めます。
これを右手のわずかなフリクションと体幹で耐えつつ、素早く左手で次のホールドを保持します!
最後のカチのキャッチに成功したあとは、左足を信じて思い切って立ち上がりゴールを取ります!
そして見事にゴールマッチ!
残り時間はあと5秒というところでの劇的な完登でした!
最終的に、この課題を登れた3名が表彰台に上がることになりました。
輝久選手はこの最終課題を登れたことに加えて、第1課題の唯一の完登者となったことで、見事に準優勝と強化選手の資格を勝ち取りました!
本大会は、輝久選手の勝負強さがぞんぶんに発揮された内容だったと言えます!
かくして、最終リザルトは3課題中2完登。
決勝で2完登できたのは輝久選手と優勝者だけでした。
つまり、アテンプト数で惜しくも破れたわけで、優勝との本当に僅差だったと言えます(とはいえ、優勝者は第2・3課題を一撃! すごいです!)。
この成績が評価され、晴れて輝久選手は強化選手に選ばれました!
とはいえ……。
たしかにそれは名誉あることであり、実際に彼は勝者にふさわしい集中力と挑戦意欲、そして実力を備えていますが、今回の成果はひとえに、彼がクライミングを楽しんで登りこんできた結果です。
そうした初心と原点を忘れずに、強化選手という立場になっても、仲間たちといっしょにクライミングを楽しんでいってほしいと思います!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではみなさん。
ガンバです!
提供:ボルダリングジムBolBol