【クライマーの履歴書】島育ちセッター・ショウさん

BolBolの橘です。逆光気味で恐縮です。

突然ですが。

ボルダリングジムのスタッフがどうやって誕生するのか、気になったことはないでしょうか?

「趣味が高じてなるんだろう」とか「なにかのコンペでそれなりに活躍をしたんだろう」とか、いろいろと憶測はできると思います。

しかし、サッカーや野球、テニスなどほかのスポーツとは違って、クラブチームや部活動、スクールのような”仕組み”が整備されていないクライミング業界では、”専門家が育つ典型的なプロセス”というものが存在しません

したがって、クライミング業界人になるまでの経歴が個性豊かであることは想像に難くありません。

というわけで。

今回は謎に満ちた「クライマーの経歴」を明らかにするために、一人の青年にインタビューをさせていただきました。

ということでご登場いただきました。

ショウさんです!


神奈川県は愛甲石田の ”Lamp +ランプ プラスに勤めていらっしゃる、成人したばかりの若き実力者です。


こちらのショウさん、ボルダリングジムのスタッフであると同時に、最近は他のジムでのセット業務(※)も手掛けるセッターでもあります。
(※壁にホールドを取り付け、ルートを設計することです)

BolBolも何度かお世話になっており、今回もセットのためにお越しいただいていたので、ついでにインタビューまでお願いしてしまいました。


セッターとしてはまだまだ駆け出しとのことですが、ショウさんが晴れて国際レベルのセッターとして有名になったときは、この記事が彼を最初にインタビューしたものとしてバズりまくることウケアイです。


というわけで。

そんな青田買い精神を全開にして、根掘り葉掘りその経歴と今後の展望をお聞きしていこうと思います!


橘

ショウさん、本日はよろしくお願いします!

ショウさん
ショウさん

お願いします!

離島で育まれた大志

まずはクライミングを始めた頃の話から伺うことにしました。


橘

いきなりですが、島育ちだと伺ったんですけど、そうなんですか?

ショウさん
ショウさん

はい、鹿児島県の種子島です。

橘

種子島! 鉄砲伝来の地として有名な日本が誇るザ・離島ですね!

ショウさん
ショウさん

ですね(笑)

故郷・種子島の海岸線(ショウさん撮影)

橘

クライミング環境はあったんですか? 岩場とか?

ショウさん
ショウさん

いえ、ジムが1軒だけあったので、そこで練習していました。

橘

あ、島にジムがあったんですか!


これは意外でした。

まったくの偏見ですが、離島といえば「遊びたかったら大自然と戯れろ」という硬派なスタイルを想像していたので、ボルダリングジムのようなレジャー施設が用意されているとは思っていませんでした。



とはいえ、ショウさんの雰囲気はぼくの持つ”島育ち”のイメージどおりでした。

穏やかな口調と静かな笑顔が印象的な好青年なんですが……

なんていうか、野生の鹿とか熊と心を通わせることができそうだと感じました。

動物に好かれそうなやさしい笑顔

橘

ジムがあるくらいだから、けっこうクライミングが盛んだったりするんですか?

ショウさん
ショウさん

いや、全然です。みんな来ても1回きりの体験で終わっちゃいます。だから、いるのは常連さんたちだけっていう感じですね。

橘

じゃあ、ショウさんも最初は常連さんに誘われたとか?

ショウさん
ショウさん

ぼくの場合、最初はお兄ちゃんがやり始めたんです。親戚に誘ってもらって。で、後からぼくもやるようになりました。

橘

で、ハマったと。

ショウさん
ショウさん

ですね。それが小学5年生のときのことで、そこからはお兄ちゃんといっしょにジムに通っていました。

お兄さんといっしょに磨いたクライミングの腕前は本物です!

橘

でも、その後でショウさんは島を出るんですもんね?

ショウさん
ショウさん

そうですね、中学生までは島にいて、高校からはこっち(本州)に来ました

橘

なるほど……。

それにしても、島を出るってけっこう思い切った決断じゃないですか?

ショウさん
ショウさん

そうですね(笑)

やっぱり、もっと環境の整ったところでクライミングをやってみたいっていう思いがあったんで。

橘

あ、クライミングのために海を渡ったんですね。

ショウさん
ショウさん

はい、人生で一番ハマったことだったんで、思い切りやりたいなって。

橘

めっちゃ素敵……


なんか、カッコよすぎて少年漫画の主人公と話してる気分になってきました。

溢れ出る人柄の良さに加えて、卓抜した行動力と決断力まで兼ね揃えています。

若干15歳にして、自分の理想を求めて海を渡ってしまうという大胆さ。

生まれた場所から半径30km圏内をうろちょろ生きてきたぼくとはあまりにスケールが違うので、なんだか畏敬の念を覚えはじめてしまいました。

事実は小説より鬼(き)なり

橘

じゃあ、高校選びもクライミングができそうなところを探したんですか?

ショウさん
ショウさん

そうです、クライミングに打ち込める環境のある高校を選びました。”秦野総合高校”っていうところで、ボルダリングウォールが設備としてあって、8mあるからちょっとしたリードの練習もできました。

橘

すごい環境ですね!

ショウさん
ショウさん

しかも神奈川県の山岳連盟に所属されている先生が顧問をやっていたので、その人に指導してもらいたくて入ったんです。

橘

完璧なプランじゃないですか。

ショウさん
ショウさん

そうなんですけど……(苦笑)

橘

………?

ショウさん
ショウさん

その先生が、ちょうどぼくが入学するタイミングで異動になっちゃったんですよ(笑)

橘

え、いなくなっちゃったんですか!?

ショウさん
ショウさん

はい……(苦笑)

橘

ええ…………。


いや。

鬼畜展開すぎるだろ……。


こんなの、ポケモンでたとえるなら博士に会いに行ったのに最初のポケモンもらえなかったくらいの圧倒的な肩透かしですよ。

出鼻を挫かれるどころか、顔面ごと吹き飛ばされるくらいの衝撃です。

大志を抱いて海まで渡った無垢な少年にどれだけ過酷な不運を突きつけているんだと、すさまじくやるせない気分になりました。

今でこそ笑い話のように語ってくれていますが、当時まだ15歳の少年だったショウさんにとってはかなりキツい展開だったことは間違いありません。



橘

それでも、高校3年間はそこに通い続けて、クライミングに打ち込んだんですね。

ショウさん
ショウさん

はい。

とはいえ、満足はできませんでしたね。(指導してほしかった)先生がいなくなっちゃって、新しい顧問の先生は“壁”よりも“山”が好きな人だったんで、クライミングは勝手に練習するっていう状態でした。

橘

クライミングに詳しくない先生になっちゃったんですね……

ショウさん
ショウさん

いちおう選手を目指してこっちに来たんで、大会とかにも出てたんですけど、成績は振るいませんでしたね。

橘

なかなか思うようにいかない時期だったんですね。

ショウさん
ショウさん

ですね(笑)


あっさり笑い飛ばしちゃう。

そんな彼の”強さ”が切ないです……

合わせていっしょに笑ってしまいましたが、内心「辛いなら泣いてええんやで」と抱きしめたい気持ちになりました。「ちょっくら一杯やろうや」と居酒屋にでも誘いたい気分になってきます。


いやしかし、安易な同情は彼のたくましさに対する冒涜でしょう。

こんな不運・苦境に見舞われながらも、ショウさんは立派に高校3年間をやり遂げて、現在もクライミング界でジムスタッフとして前向きに活動しているのです。


続いては、そんな前向きなショウさんの現在について質問していきたいと思います

圧倒的な徳の高さ

現在は愛甲石田のジム Lampランププラスにお勤めになっているショウさん。

ここからはジムスタッフとしてのショウさんについて質問していきます。


まずはジムとの出会いについて伺いました。


ショウさん
ショウさん

入学前に高校を見学した段階で、(後に異動してしまう)先生に会って、そのときに紹介してもらいました。ジムオーナーの方とその先生が知り合いだったので。

橘

じゃあ、中学生の時点で知っていたんですね。

ショウさん
ショウさん

そうです。「こっちに来たら練習しにおいで」って言っていただいて。なので、高校入学と同時にLampランプにも練習にいくようになりました

Lampで練習中の若き日のショウさん(の後ろ姿)。この頃はまだ黒髪。

橘

働きはじめたのはいつ頃からなんですか?

ショウさん
ショウさん

高校のときはもう手伝ってました。それで大学生になっても手伝ってて、いまは大学やめたんでジムスタッフに専念してます。

橘

へえ、高校から現在までずっとなんですね……




橘

……ん、大学やめっちゃったんですか?

ショウさん
ショウさん

はい(笑)

橘

また思い切りましたね

ショウさん
ショウさん

じつは、入学と同じくらいにコロナ(禍)になっちゃって

橘

ああ、なるほど……

ショウさん
ショウさん

入学式もなかったし、授業もオンラインばかりになって、1年間で1回もキャンパスには行かなくてほとんど引きこもり状態でした。

橘

あらら……

ショウさん
ショウさん

なので、「これじゃあお金がもったいない」って思って、それなら働こうって。

前向きに新しいキャリアをスタートさせたショウさん

橘

それで、晴れてジムスタッフとしてリスタートしたと。

ショウさん
ショウさん

はい。いまは毎月のセットもするようになったし、いろいろな仕事を任せていただけるようになりました。

橘

どうですか、本格的にスタートしたスタッフ生活の感想は?

ショウさん
ショウさん

すごく楽しいですね。

ぼくはもともとコミュニケーションは苦手だったんですけど、いろいろな方と話しているうちに前向きになれたし、なにより成功体験を共有できることが一番うれしいですね。

橘

ああ、お客さんが完登しているとうれしいみたいな?

ショウさん
ショウさん

はい、やっぱり、人の成長や喜んでいるところをそばで見れたり、その手伝いができるってのは良いなって。


聖人や……

海を渡ってまで指導を受けたかった先生がいなくなってしまうという高校時代の不運。

さらには、コロナ禍による大学生活の破綻。

ショウさんが過去に経験した不遇を思えば、SNSでキラキラしている有名人を見つけてはアンチコメントを投げつけまくるルサンチマンモンスターとして闇堕ちしてしまっても不思議ではありません。

にもかかわらず、他人の幸福と成功を後押しすることに喜びを見出すその姿勢。


完璧です。

完膚無きまでの徳の高さです。


3段くらいの道徳心は余裕であります。

よく笑ってくださる方です。

橘

お話を聞いていると、ジムスタッフにすごく向いている方だなって感じがします。

ショウさん
ショウさん

ありがとうございます(苦笑)

ただ、ぼく自身、クライミングには向いていない人間だと思うんです。だから逆に、初心者の方の悩みとか、成長の難しさには共感できると思います。

橘

天才ではないからこそ「できない」気持ちがよくわかるみたいな?

ショウさん
ショウさん

(ぼくは)まったく才能は無いですね。なので、そのぶん練習方法とかはいろいろ模索してきたので、その経験をお伝えできるかなって。

橘

「雑草魂」的な?

ショウさん
ショウさん

ですかね(笑)

というか、ぼく自身まだまだ弱いし、とくにフィジカル面は人並み以下だと思っているので、お客様たちといっしょに筋トレしたりします。

橘

へえ、楽しそう! 筋トレ好きなんですか?

ショウさん
ショウさん

いや、大嫌いです(笑)

橘

あ、嫌いなんですね(笑)

ショウさん
ショウさん

はい(苦笑) でも、必要なことですし、お客様たちとも盛り上がれるんで、いっしょに頑張ってます。


微笑ましい光景が目に浮かびます。

やっぱりジムスタッフというか、対人業務に向いている方だなあと改めて感じました

コミュニケーションが苦手とおっしゃっていましたが、それは話し方とか技術的な面でのことで、性格や精神面では生来の人当たりの良さがあると感じます。

もうこの時点でインタビュアーというよりはただのファンとして話したくなってきました。

というわけで、油断していると「好きな食べものとかありますか?」とか恋する乙女みたいな質問をしそうになりますが、あくまで仕事としてお話を伺っていることを忘れないように気をつけつつ、続いては「これからのこと」について質問していきたいと思います。

フィジカル弱そうには見えんけどなあ……

とにかくセットが楽しい!

橘

外部でのセットはホームとは勝手が違いますか?

ショウさん
ショウさん

違いますね。やっぱり、使っているホールドの種類とかに違いがあるんで、そのあたりに難しさがありますね。グレード感や方向性はそのジムに合わせたいですし。

橘

ジムの特色に配慮するんですね。

ショウさん
ショウさん

そうですね。ただ、そのジムに合わせすぎても面白みがないと思っていて。せっかくお手伝いできるのだから、あまり見当たらないタイプの課題や、自分ならではの課題もつくっていきたいなって。

橘

自分らしい課題ですか

ショウさん
ショウさん

まだまだ研究中ではあるんですけど……

ぼくはパワーで登るタイプではないので、ちゃんと力を利かせて登ったり、ムーブを読みづらかったりする課題を意識しています。

2級核心部のスローパーも難なく保持する試登中のショウさん

橘

技術と頭を使わないと登れないみたいな?

ショウさん
ショウさん

そうですね、一筋縄ではいかない課題にしたいです。ぼく自身、そういう課題に積極的に挑むようにしています。

橘

しっかり練習になるような課題が好き?

ショウさん
ショウさん

ですね。ちゃんと学びがある課題を意識しています。なので、自分の得意な課題ばかりつくらないようにも気をつけています。自分でも悪いと感じる課題にしたいので。

橘

ですね。

ショウさん
ショウさん

ですかね(笑)。もちろん、純粋に楽しい課題もつくりますよ。ぼく自身、ダイナミックやコーディネーションが好きなんで、大きく気持ち良く動けるようなのも用意します。

新作のコーディネーション(4級)。デモはBolBolスタッフです。

橘

バランスが大事ってことですね。

ショウさん
ショウさん

そうですね、偏らないように意識しています。ぼく自身のなかでもそうですし、ジム全体で見たときにも幅が広がるようにしたいなって

橘

めっちゃ考えてますね。

ショウさん
ショウさん

いま、セットがすごく楽しいんです。最近は登るよりもセットのほうが好きになっていて、セットの技術や方法について考える時間が増えました。

橘

セッターとして目覚めたんですね。

ショウさん
ショウさん

ですね。なので、とにかくいろいろなジムにお邪魔して、ホールドや課題の研究をするようにしています。

橘

じゃあ、今後もこういうお仕事(外部のセット)もどんどんしていきたいんですか?

ショウさん
ショウさん

そうですね、いろいろなジムからセッターとして呼んでいただきたいですし、それが現在いまの目標ですね。

試登を踏まえて課題を修正中のショウさん

ショウさん
ショウさん

そのために、「自分らしい課題」をもっと確立していきたいですね。もちろん、いろいろな課題をつくっていきたいんですけど、そのなかにも個性があって、「自分ならではの課題」をつくれるセッターになっていきたいと思います。

橘

もうすでにけっこうできている気がしますよ。ショウさんがセットに来てくださるようになってから、課題の幅が広がって楽しくなったなって感じます。

ショウさん
ショウさん

そう言ってもらえるとうれしいです(笑)

BolBolには少なかったタイプの課題もふんだんにつくってくれました!

橘

ほかにセッターとして意識されていることっていうのはなにかあるんですか?

ショウさん
ショウさん

やっぱり、壊されないようにっていうのは常に意識しています(※)。壊されちゃうと、その課題で練習してほしかったことが台無しになってしまうので。

※想定外のルートやムーブをされてしまうこと

橘

たしかに大事なことですけど、それってけっこう難しいですよね。

ショウさん
ショウさん

そうですね、とくに人によってリーチ(届く範囲)には大きな幅があるので気をつけています。

橘

リーチ対策って、具体的になにかあるんですか?

ショウさん
ショウさん

難しいんですけど……

たとえば、傾斜のある壁でダイナミックな課題をつくるときは、踏み切れるけれど足は残せないような課題を意識しています。

橘

リーチに関係なく必ず足は切れるような?

ショウさん
ショウさん

そうです。スタティックな状態だとリーチの長短で不公平感が大きいんですけど、足が残せない距離出しになったら、リーチのある人は体が重いし、ない人はそのぶん身軽です。なので、ダイナミックな課題はリーチについては比較的フェアになります。

橘

ベテランセッターさながらの知恵じゃないですか!

ショウさん
ショウさん

いや、まだまだ全然です(苦笑)


率直な感想として、すでに立派な職人だなあと思いました。

彼くらいの年齢だと、「就活だりぃ」とか言っててもおかしくありませんし、働き始めていたとしても右も左もわからないことが大半ではないかと思います。

にもかかわらず、ショウさんはご自分の課題や、その克服のためにやるべきこともしっかり把握しているし、自分なりの仕事のノウハウもすでに確立させていました。

セッターとしての技術や向上心はもちろんのこと、インタビュアーの大げさな褒め言葉も爽やかスマイルで華麗に処理する謙虚さまで含めて、満点です。

彼のセッターとしての成功を確信せずにはいられませんでした。

子どもたちへのアドバイス

最後に、現在、ぼくが顧問をさせていただいている「中学生ボルダリング部」の部員たちにアドバイスをいただきました

先輩クライマーであると同時に、逆境に直面しながらも、常に目標に向かって力強く前進し続けている人生の先輩でもあるショウさんなら、思春期真っ只中の中学生たちに素晴らしい提言をしてくださるだろうと大いに期待されたからです。


橘

まずは技術的なことから伺いたいです!

ショウさん
ショウさん

そうですね……。

これはまさにぼく自身が中学生の頃から意識していたことがあるんですが、それが「音を立てずに登る」ってことです。

橘

音を立てずに登る?

ショウさん
ショウさん

正確には「足音を立てずに」ですね。フットワークの練習になるんです。

たしかにショウさんの登りは静かです。

ショウさん
ショウさん

ふつうに地面を歩くときって、ドタドタ音を立てないですよね。それは”歩く”っていう動作がごく自然なものとして定着しているからだと思うんですけど、それと同じ感覚でホールドも踏めるようにするんです。

橘

歩行くらい自然な動作に洗練していくってことですか。

ショウさん
ショウさん

はい。そうやって静かに動くことを意識していると、自然と“点”で踏むようなフットワークになってきて、クライマーとして正しい足さばきが身についていきます。

橘

なるほど!

居合わせた中学生に直接指導もしていただきました

橘

メンタル面ではなにかありますか? ちょうど受験生になる部員もいるので、思い切った進路を選択をした先輩として、なにかアドバイスがあればいただきたいです!

ショウさん
ショウさん

大したこと言えませんけど(苦笑)

……でもまあ、やっぱり「自分と向き合う時間」を大切にしてほしいですね。

橘

自分と向き合う時間ですか。

ショウさん
ショウさん

はい。自分の好きなものはなにかを考えたり、やりたいことを探したり、いろいろやってみて、自分について知ることが大事なんじゃないかなと思います。


橘

そういう姿勢が、15歳にして故郷を離れるという決断を後押ししたんでしょうか。

ショウさん
ショウさん

だと思います。やっぱり、自分の気持ちの強さに自信があったから動けたんだと。

橘

他人に背中を押してもらったとかではなく?

ショウさん
ショウさん

もちろん、いろいろな人の話は聞きましたけど、結局は「自分」ですね。
いまはネットとかでも他人の意見がたくさん入ってきて、それはそれで大切になるんですけど、最後は自分の考えを大切にしたほうが良いと思います。


橘

だから、自分と向き合うことが大事なんですね。

ショウさん
ショウさん

一番の相談相手は自分自身だと思うんです。そうすれば、自分一人でも行動できるようになると思います。

橘

なるほど。誰かの意見に頼っていると、誰かがいないと動けないですもんね。

ショウさん
ショウさん

もちろん、誰かがいるからこそできることもありますけど、結局、いつもそばにいるのは自分自身なんで、大切にしようと思っています。


桁違いの説得力です。


「自分の気持ちに正直に」とか「自分の意志を大切に」なんて、それ自体はよく言われることかもしれませんが、ショウさんの場合、がっつりと行動が伴っています。

特別にクライミングの盛んな場所だったというわけでもない離島で育ち、「自分が好きだから」という一点だけをモチベーションとして続けたクライミング

憧れの先生の異動という不運や、突然のコロナ禍に見舞われながらも、そのなかできちんと自分が良いと思う方向に舵を切って進み続けた経歴

ジムの色に合わせすぎず、配慮しつつもそのジムの課題の幅を広げるつもりで「自分らしい課題」を提供したいというセッターとしての姿勢


その人生と人柄のどこを切り取っても、「自分で考える」という姿勢が体現されています。

まさに言行一致の極みです。

それでいてこの柔和な微笑み

”芯の強さ”はびしびし感じますが、”我の強さ”というものはまったく感じません

他人の意見は必要ないと突っぱねるような態度ではなく、あくまで周囲の方々の声や気持ちを大切にしつつも、しっかりと自分の意志を大切にして行動していく姿勢。

まさに中学生にお手本にしてほしい社会人像だと感じました。

総括

というわけで、これにてインタビューは終了です。

終わってみれば、ショウさんの人柄と行動力に魅了されっぱなしの1時間弱でした。


まだ成人したばかりの青年の快活な生き様に希望を感じずにはいられないと同時に、三十路を過ぎたおっさんとしてそこはかとない焦燥を覚えました。



最後に、そんなショウさんがお勤めになられているボルダリングジムを改めてご紹介します。


神奈川県は愛甲石田のLampランプ プラスです!

ホームジムとショウさん

経験者の方だけでなく、初心者はもちろんのこと、カップルやご家族のレジャーとしての活用も大歓迎しているフレンドリーなジムです。

出張ボルダリングという面白い企画も行なっており、ボルダリングを楽しんでもらうことにとても積極的です!

楽しそうだと感じた方はもちろん、ショウさんにセットを頼みたいジムの関係者の方や、ショウさんに惚れてしまった方も、ぜひぜひチェックしてみてください!





橘

ショウさん、本日は貴重なお時間をありがとうございました!

ショウさん
ショウさん

こちらこそありがとうございました!


提供:ボルダリングジムBolBol