こんにちは、タクマです。
寒さが堪える去年の12月、シーズン終了にギリギリすべりこむかたちで瑞牆山に赴きました。
今回のお目当ては大ヤスリ岩にそびえる60mのマルチピッチルート。
課題自体もハードですが、初めて向かうエリアだったのでいろいろと大変でした。
とにかく遠い。
悪路と寒さに体力を奪われながら、大ヤスリ岩までの約2時間のアプローチをパートナーと2人で登ります。
”山登り”で体力を使い果たし、”岩登り”ができなくなっては本末転倒ですので、休憩と栄養補給をこまめに取りつつの道中となりました。
ようやく現地についたらついたで、次の問題に直面します。
ルートがよくわからない。
ぼくの外岩歴は20年に近いのですが、それでも初見の岩場では、課題の視認にしばしば苦戦を強いられます。
ジム課題の”カラーセット”のように気の利いた設計にはもちろんなっていないわけで、どこも同じに見えるような岩壁から目的のラインを見極めなければなりません。
とくに今回は同行者も初来訪だったので、情報に乏しくルートを確信するまでには時間がかかりました。
ですが、しばらくして無事に目的のラインを発見。
その名も”夢のカリフォルニア”!
「露出度の高い壁に切れ込んだ非常にきれいなフレークからコーナーを登るルート」であり、「このエリアのメインルート的な課題」とエリアガイドで説明されている人気ルートです。
さて、この課題はグレーディング 10b のマルチピッチルート。
60mを3ピッチで登り切る内容となっています。
つまり、ビレイ(確保)とクライミング(登攀)をパートナ―と3回ずつ交替で行ない、2人で登頂を目指します。
通常の単独登攀とは違い、コミュニケーション能力をはじめとしてマルチピッチならでは様々な能力が必要となります。
にもかかわらず、吹きすさぶ強風でお互いの声が聞こえないという事態が発生。
あげくには用意したカムの数が足りなくなるなどして、トラブルへの対応力も大いに求められました。
この記事は”レポート”と銘打っていますから、本来なら道中の絶景とかロープワークの詳細とか写真でお伝えしたいところです。
が、撮影してる余裕なんて皆無だったので、文章から想像していただければ幸いです。
13時から登り始めて、この時点ですでに16時。
じつに3時間ものを過酷な道のりでしたが、その甲斐あってご覧のとおりの絶景にありつけました。
「素晴らしいロケーションを感じることができるため、2時間歩いて登りに行く価値は十分にある」とエリアガイドで評価されているだけのことはあります。
最後まで登り切って、さらなる景観と達成感を味わいたいところでしたが、この日はここで敗退。
体力的な問題に加えて、日没時間と1〜3℃という厳しい寒さを考慮した結果でした。
高所ゆえの強風もあって、体感気温は氷点下を軽く下回っていました。
悪条件のなかで焦って滑落しては大惨事。
外岩において危機管理能力はなによりも重要ということで、この日は敗北を認めることにしました。
というわけで、25mまでしか登れませんでしたが、2人で協力をしながら怪我なく登ることができ、暗闇のなかを下山して帰ってきたことは経験値として自信になりますし、楽しい思い出にもなりました!
今回のご報告は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうごさいました。
また、当日ご一緒していただけた H さんには、この場を借りて改めてお礼いたします。
これを読んで「自分も行ってみたい」と思った方がいましたら、今度はぜひ来てください!
それでは、みなさん。
ガンバです!
提供:ボルダリングジムBolBol